知らない街でふたりぼっち

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知らない街で待ち合わせ。1度きりしか会った事のない人とこの時代に文通のように毎日、今日あった事と明日起こるであろう憂鬱をLINEで共有してきた。信じられないかもしらないがそれがもう2年も続いている。何度か会おうと言ったけど約束の重さに負けて会う機会はことごとく流れていった。そしてまた夏がきて、知らない駅で待ち合わせしてみないか?と何度目かの約束をしてみた。きっとボクらは約束を先延ばしにする事でこの関係を続けられ、おぼろげな生きる意味にもなっていた。答え合わせはしたくない。会って話してみたいと思った。触れてみたいと思った。日常に嫌気がさしていた。朝食を探しに街へ出た。通り過ぎる人も絶対にボクらの事を知らない。手を繋ぐほど図々しくなれない。何処にでもあるチェーンの喫茶店に入ってモーニングをふたつ頼んだ。今日の予定を切り出せない。コーヒーとタマゴサンドが美味しい。口数は少なく、決定的な話はしたくなかった。「あの時計、ディズニー」と彼女がいった。時計に目をやる。時間はお昼に近づいていた。知らない街でふたりぼっち。



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