墓標

本当に幸せなコトと本当に辛いコトはインターネットの網の目の中では、つぶやけない。
下田の先。夜の海は怖いくらい墨のように真っ黒で波は穏やかだ。遠くで何かが光ってる。船だろうか。
このインターネットという場所の広大なつぶやき群は、本当のカタルシスと本物の絶望は切り取れない。
人間は他人にも肉親にも親友にも腐れ縁でも、そんなに心を開けない動物だ。だからこそ、
そんな切迫を逃れた何気ない言葉のお墓みたいにインターネットには無数の言葉が配列している。
ぬるいコロナを一口飲んで、遠い彼方の昨日を想い出しては砕けて散った夜を両手で集める黄金町。



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